企業にとっての年度末
4月に入って数日が経ちますが、私の勤める会社は東京に本社があり、数ヵ月の社内研修を経て大阪配属の新人がやってきます。
なので、年度末は出会いよりも別れのイメージが強い季節です。
退職理由
多くの中小企業、IT企業同様に、所属会社でも年度末は退職される方が複数名いらっしゃいました。退職理由は様々です。
残念なことに1年で退職される方もいれば、やりたいことを見つけて異業種へ転職する方、本当に様々です。
一番面白かったのは、アイドルになる、と言って退職した方ですね。もしかしてもっと仲良くしておけばよかったのかな、、と少し残念です。
あとは転職組を除くと、社風が合わずに退職したタイプになります。
比較的、若手がこちらに該当してしまうのですが、個人的には英断だと考えます。かくいう私も、前職は1年で見切りをつけて今の会社に転職していますので、様々なキャリアパスがあるこの時代、ちゃんと自分が能力を発揮できる会社に勤めるべきです。
ご両親などはとても心配なさるでしょうが、今の時代をご理解頂くしかないです。極端な言い方かもしれませんが、好きなように働ける時代ですから。
IT中小企業
IT業界という括りで見ると、まだ私は「お堅い」方です。リモートワークもしませんし、毎日スーツで出勤し、ガチガチのセキュリティの中で仕事をしています。定時も9時18時で非常に一般的な部類です。
中小とはいえSIerなのが大きいかもしれませんね。
最近は、基本的に顧客に合わせていくという思想が強くなって顧客がノーネクタイなら我々のメンバーもノーネクタイでよくなりました。ここ数年は私も基本的にノーネクタイで、自社に戻る際にネクタイをするという、おかしな状態になっています。
私は大企業に勤めたことはないので偏見があるかもしれませんが、中小企業の良いところは、顧客を選べるところだと思います。
もちろん、選ぶだけの技量と信用が必要です。
私の視点から見ると大手SIerさんと言えども、意見の強い顧客に大きく左右され、正しい意見を持っているにも関わらず流されてしまう、という場面をよく見ます。
大手SIerともなると(大手を蔑視するつもりはありません)、手を動かしてプログラムをするのは最初の数年(数ヵ月?)で、年を追うごとに"モノづくり"から離れてしまうのではないでしょうか。
そうして、結果的にモノづくりに必要な要素が欠けた状態で戦場に赴くことなり、負け戦になっているのではないでしょうか。
繰り返しますが、大手を馬鹿にしたいわけではないです。
ただ、そんなゼネコン、分担体制がIT業界を衰退させているのは事実だと思っています。
だって、モノづくりできない人が工数を見積もるって、単純に変じゃないですか?
車壊れましたーって整備に預けに行って、全然関係ない営業の人が「明日お渡しできますよ」って答えてもらっても、信用できないですよ。挙句、内容がよくわからない伝票とともに納得できない工賃を払うことになるんですから。
最後は実際にモノづくりをする部分が信用されるべきだと思います。
よくわからない政治に振り回されるエンジニアが不幸でなりません。
中小企業の変化
中小企業と言いながら、中小の"SIer"に限定しますが、ここ数年は「働き方改革」が効いたのか稼働時間に敏感な顧客が増えています。
懸念していたのは、中小企業から見たときの大手ベンダーやエンドユーザーが、稼働時間の制約によってやりきれなかった仕事を下請けに放り投げるんじゃないかということだったのですが、さすがに杞憂だったみたいです。
実はみんな、バランスよく働きたい思いを持っていたのかもしれません。
上述の通りなので、十分とは言えませんが、少しずつ働き方が変わってきています。(私の周りは)
中小企業にとっては、大手から率先して改革してくれるととてもやりやすいです。
関係性の変化
と、ここまで少し回り道をしましたが、要は大手ベンダーと下請けのスキルマップの"かぶり"が大きくなっている気がするんです。
今まで下請けがやっていたこと、1次請けがやっていたことは分業のような棲み分けでしたが、大規模PJよりも小分けなPJをサイクリックにして売上げるモデルが多くなり、下請けの会社も1次請けのようなロールを担うことが多くなってないですかね。
ちゃんと確認したことなんてないのですが、私の周りは年間通すようなPJよりも、クォーター単位がほとんどです。
なので、SEポジションで参画したのに、簡単な要件定義からリリースまで求められることもざらにあります。
そうなると、受注することや折衝以外は1次請けとほぼ同じことを対応することになります。
結果的に下請けのスキルエリアが拡大してしまって、お互いに頼り合う関係になります。
最終的には、下請けで働いていた人が1次請けの会社に引き抜かれたりするんですよね。
中小企業のあり方
そしてタイトルに戻り、中小企業のあり方です。今までもそうだったかもしれませんが、優秀な人材を育て、成熟した人材はどんどん旅立たせる(転職させる)という、育成機関としての色合いがより強くなる気がしています。
実際、昨年度の退職者のうち半分くらいは大手IT企業や大手メーカーの社内SEへの転職でした。
現代のIT業界のキャリアパスとして、転職はとても一般的なので中小企業はどんどん血を入れ替える腹積もりでいた方が良いです。
放っておいても優秀な人材は勝手に成長するし、成長したら出て行くのが普通になります。
誇りを持って、人を育て、輩出する格好いい中小企業がいいな、と私は思います。
さいごに
今回は私事に近いながら、少し目線を高くしてみました。エンジニア不足、売り手市場が叫ばれる中、中小企業はどうやって成長していけばよいのか、ほんの少しだけ深く考えてみました。
同僚が旅立つのを見送るのは嬉しい一方、やはり寂しさは隠せないですね。
遅くなりましたが、今年度も頑張りましょう。